【辛口】ネイティブコンプレックス、ありません?
今回のブログ記事は、「やや辛口」です。
私たち日本人の中には、
英語の「ネイティブ」に対するコンプレックス、
特に「白人男性」に対するコンプレックスが
あるのではないか?ということ。
そして、それが、私たちの英語習得と
大きく関係しているのではないか?
という指摘を含む内容です。
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今から5年ほど前。
外資系のメーカーで、私は
ある事業部の担当として、
本社工場(イギリス、ドイツ)と
日本のお客様の間に立って、機器の
クレーム対応をしたことがありました。
その事業部を代表する立場として、
日本のお客様からの製品に対するクレームを、
本社のプロマネ(=製品担当マネージャー)に
伝えるという、まあ、内部事情を織り込んでの
複雑な「通訳」みたいなことを
していたわけです。
場所は、西日本のとある国立大学病院。
そこで、本来なら起きてはならないような
ひどい機器トラブルが起きたばかりで、
その機器のユーザーであるお客様はカンカンです。
連日のように西日本の営業担当を呼び出しては、
「一体、どうなってるんだ!」と、烈火のごとく
お怒りの状態だったわけです。
そこへ、私が本社工場から来たマネージャーを
連れて、お詫びと状況ヒアリングのための訪問を
したのでした。
日本の営業担当は、連日平身低頭で、
お客様にお詫びをしているような状況。
そこへ、私が、イギリス人とドイツ人
(いずれも白人男性)を連れて訪問したわけですが・・・
私が予想すらしていなかった事態が発生。
連日烈火のごとく怒り狂っていた、という
その日本人のお客様が、イギリス人、ドイツ人の
マネージャーを前にした途端に、まるで
別人のように、「いい人」になってしまったのです。
お客様
「いやあ、わざわざ、遠いところから
来てもらって、申し訳ないね」
と、なんだか笑顔すら浮かべて応対しているのです。
・・・
え?
昨日までのお怒りはどこへ??
なんで、いきなり、こんな
「いい人」になっちゃったの??
私としては、お客様に、もっとしっかり
本社に対してクレームを言って欲しかった!
そうすることで、日本のお客様の要求が、
「生の声」が本社工場に伝わるから、です。
私にしてみれば
「ちょっと!お客様!?
昨日までと同じような、強い調子で、
ちゃんと文句言ってくださいよ!!」
と言いたい気分。
(流石に言えませんでしたが)
しかも、これには後日譚もあって、
その時同行したドイツ人が、実は日本語を
勉強中、と知るや否や、そのお客様が急に
馴れ馴れしくなって、
日本語と英語ちゃんぽんでドイツ人に
向かって話しかけてくる、という・・・。
〜〜〜
残念ながら、
外資系で働いていた16年の間に、
このようなシーンに何度も遭遇しました。
日本人の担当者の前での態度と、
外国人の前での態度が、180度変わる人。
外国人を前にした途端に、本当は言いたいことや
言うべきことを言わなくなってしまう人。
そして、この傾向が強く現れるのは、
「白人」かつ「男性」を前にした時が、
特に顕著だな、と思いました。
中国系、アジア系や、他の有色人種や
外国人の女性の前では、ここまで極端では
ありません。
(あくまで私の体験上、ですよ!)
そして、これはお客様だけでなく、
外資系の社員の中にもいました。
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日本人の中に根深くある、
英語に対するコンプレックス。
本来ならば、
クレームを言うべき、意見を言うべき
シーンなのに、
相手が英語のネイティブだから
相手が外国人だから、と、
言うべきことが言えなくなってしまう、
のです。
本当は、クレームを言うはずだったのに、
あいまいな薄笑いで応対。
・・・これって、
おかしくないですか?
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その大学病院を出た時、病院の玄関先での
当時の西日本担当営業、Hさんとの会話、
今もはっきり覚えています。
私「ねえ、あの人、外国人に態度豹変したね?」
Hさん「そうですね・・・」
私「昨日までのあのお怒りは、一体
どこへ行った、って感じだよね?」
Hさん「はい。あれを、本当は本社の人にも
言って欲しかったんですが!」
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そう、同行したイギリス人とドイツ人は
「ねえ?お客様、そんなに怒ってなかったよね?」
と、今回の訪問内容にご満悦の様子。
そんな様子を見ながら、
私は、内心腹が立って仕方がなかったのです。
英語であろうと、日本語であろうと
なんらかこちらに問題があったのだから、
「お客様からの厳しい意見(クレーム)
として、本社工場に対応させる」
そのための訪問だったのに!
もちろん、お客様が英語が苦手だった、
というのは理解できます。
しかし、これは単に「英語力」だけの
問題ではない、と思うのです。
本当に言いたいこと、伝えるべきことがあるなら、
お客様は、私を「通訳」として使ってでも
しっかりとクレームを言うべきでした。
むしろ、英語力よりも
「主張する力」
「自分の意見を伝える力」
が必要なのだ、と思い知らされた一件でした。
ビジネスシーンでの英語に必要なのは
英語力そのもの、よりも、実は
この「主張する力」なんです。
英語力なんて、なくたっていい。
(何なら、通訳を使ったっていいんです)
その後、私が
「ビジネスパーソンに英語を教えよう」と
思った時、真っ先に思い浮かんだのは
この大学病院でのシーンでした。
外国人を前に、しっかり意見が言える日本人を
増やすこと。
英語コンプレックス、外国人コンプレックスの
せいで、言いたいこと言わずに済ませてしまう人を
なくすこと。
これが、
私がビジネスパーソンに英語を教えることに
決めた理由の一つ、なのでした。
私たちが感じる日英の「言語の壁」は、
単に語学力の問題ではない。
言語が何であれ、
自分の意見を伝える、表現する手段を持つことが
大事だ、と思ったのです。
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今日はいつになく辛口、辛辣な記事に
なってしまいました。
次回はもう少しやわらかネタでお送りしますね〜
Joshua WoronieckiによるPixabayからの画像