英語の会議サバイバル術
この記事をお読みの方の中には、仕事で「英語の会議」に出なくちゃならない、という方、いらっしゃいますよね。
私のクライアントさんたちからも、「英語の会議が苦痛なんです…」というお声をよく聞きます。
そんな方たちの英語のお悩みを大別すると
「相手の言っていることは何となくわかるんだけど、100%聞き取れてはいない」
というのと、
「いざ話そうと思うと文章が口から出てこない」
の2つが多いのです。
ビジネス英語をがんばろう、という人たちには、全く読めない、書けない、という人はほとんどいません。リスニング、スピーキングは日本人がもっとも苦手なスキルということですよね。
今回は、このうち「相手の言っていることは何となくわかるんだけど、100%聞き取れてはいない」 にどう対処するか?というのをお伝えします。
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先に結論から言いますね。
英語の会議なんて、そもそも100%聞き取る必要はないんです。それでいいんです!
え? どういうことか? って?
順を追って説明しますね。
まず、日本語での会議を想像してみてください。
あなたは、日本語の会議を、本当に”100%”聞き取って、理解しているでしょうか?
今日の会議で、部長が冒頭にみんなに向かって話したことや、その後の課長の発表内容を、その通りに繰り返して言えますか?
……言えないですよね?
おそらく、覚えているのは今日の会議のメインテーマと、最終的に決まったこと、大体の方向性、くらいではないでしょうか? 部長の雑談やら、肝心の課長の発表内容を、一言一句違えずに再生できる人なんて、まあ、ほとんどいないですよね。どうして一言一句再生できないのか、というと、そこまでする必要はないから、ですよね?
つまり、日本語であっても”100%”聞き取って、理解している、なんて必要はないのです。
ところが、なぜか、英語の会議になった途端、話された内容を”100%”理解しようとしてしまう、あるいは、理解しようと思ったのに、できなくて落ち込む、という人が激増します。
これはいわゆる受験英語の弊害かな、と思うのですが、私たちは、なぜか”英語”となった途端に、言われたことを一言一句漏らさずに聞き取らなくてはならない、と思い込んでしまっているのではないでしょうか? まるでその後に書き取りの試験でもあるかのように……。
本当は、そんなことないんです。
そう、日本語の会議と同じように、会議のメインテーマと、最終的に決まったことの大体の方向性がわかれば、それでOKなんですよね。英語の内容を100%理解しようとか、聞き取ろう、と思わなくていい、ということ。
もう一つ、別の角度から見てみましょう。
例えば、その英語の会議が1時間だったとしましょうか。
そのうち、あなたに関係のある話題は全体の何割くらいでしょうか? 自分が発表者や司会者であるならば全部関係あるかもしれませんが、多くの場合は、いち参加者として、であれば、せいぜい直接自分に関係のある話題は、2、3割、ではないでしょうか?
つまり、真剣に聞き耳を立てているべき部分は、全体の2、3割で良い、ということ。定例会議であれば大体のテーマやアジェンダがあるでしょうし、ビジネスシーンの会議で、議題がなんなのか全く見当もつかない会議に出る、ということ自体まれでしょう。あらかじめ話されるテーマや方向性がわかっているのであれば、自分に関係するところだけに聞き耳を立てる、というのはそんなに難しくないはず。全体の2、3割だけしっかり聞き取るつもりなら、1時間のうちせいぜい15分〜20分くらいの集中力でいいわけです。
そして、これはちょっと言いにくいことなんですけど……。
実は、日本語の会議ですら、終わった後に覚えている内容って、ほんの数%だったりしませんか?
エビングハウスの忘却曲線、というのをご存知でしょうか?人が何かを学んだ時、20分後には42%忘れる、1時間後には56%忘れる、なんと1日後には67%忘れる、という研究結果があるそうです。
日本語の会議すら、翌日には半分以上忘れてしまっているかもしれない、ということです。もちろん、議事録やノートにメモを取ったりすることで、私たちは会議の内容を忘れないようにしているわけです。
となると、英語の会議だったら、もっと覚えていられる内容が減ってしまうかもしれませんね!
仮に、あなたが、会議中の英語の発言を、一言一句、漏らさず聞いたつもりでも、やはり翌日には半分以上忘れてしまうわけです。
つまり、最初から100%聞き取ろう、とすること自体が、無駄なことかもしれない、ということ。
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では、どうしたらいいか?
簡単なコツを3つ、お伝えしておきますね。
まずは、会議に出る前に、テーマは何なのか、確認すること。その会議のうち、自分に関係するところはどことどこなのか? 自分が聞き耳を立てるべきテーマは? というのを見極めておくこと。
そして、自分に関係するところの話題だけはしっかりメモを取る。メモは日本語でも英語でもOKですが、私のおすすめは専門用語やキーワード、重要語句だけは英語でメモること。
さらに、会議の終わりに、自分がやらねばならないこと、確認したいことだけでも司会者や主催者に確認する習慣をつけること。簡単な表現でいいので、「すみません、確認させてください。私は次回までにXXXとYYYをする、これで間違い無いですか?」(英文: Let me make sure. I have to do XXX and YYY. Am I correct?) とだけ質問できれば良いのです。この時に、重要キーワードは、先ほどメモった英単語を使いましょう。
英語の会議を100%聞き取るべく努力する、というのではなく、100%聞き取る必要がない、という前提で準備して対応しよう、というのが、外資歴16年の私がお伝えしたい”英語の会議サバイバル術”なのです。